40・思い出してみたこと（アルバイト編）
この事を書くには、まず運命的店長との出会いから、書かなくてはなりません。
『偶然は決してない』と言う、真理に出会い、本当に納得と感謝で一杯な出会いでした。
１８歳だった時、親の世間体で在籍だけしていた短大。行ってなかったし！
腐りきった気分で、何をしても楽しくない。何も目的も無い。その日暮らし。
イベントやら悪ふざけにふけっておりました。
しかし、親から貰うお金だけでは、足りない。
もっとブランド服やら靴やら、た〜っぷり買いたい！！の年頃でした。
友人とそんなショッピング途中、ふと横の店を見ると『バイト募集』の張り紙。
突然！唐突に『ここバイト雇ってくんないか、きぃ〜てくるわ。』とフラリ店の中へ。
そこはメンズのアパレルのお店でした。何も考えてませんでした。
いきなり飛び込みで即採用してくれたのです。そんな、こんなで翌日から出勤です。
開店から、閉店まで、ショップで販売員です。
暇な時は、掃除・服たたみ。掃除、服たたみ。繰り返しです。
世の中ナメまくりの私は、掃除・・・だる〜。（二日酔い＆寝不足）
服たたみ・・・はぁ〜。またぁ〜。（たたんでも、ただんでも、客がぐしゃぐしゃにする！）
と、まあ人並みに、怠惰で、面倒くさいと、気持ちにありました。
ある日遅刻しました。１時間は遅刻したかな〜
掃除してると店長がやって来て『おまえ今日やる気本当にね〜な〜帰れ！』
『給料はつけてやるから、やる気無いなら帰れ！！』といきなりです。
冷や水浴びせられた気分でした。一気に目が覚めて『きちんとやります！帰りません！』
だらだらモードから抜けました。
拭き掃除だらだらやってたら、また！いつの間にか店長が後ろに！！
『おめぇ〜それは拭き掃除じゃね〜よ〜！ただのゴミ寄せる。ってんだろっ！』
『隅まで、しっかり拭け！丸く拭いてんじゃね〜よ！！！』
これでまたまた！目が覚めた！！
ダルダルで掃除やってた事に、初めて気付かされたのです。
もう！！この店長には星の数ほど、怒鳴られ、ブッチギリにぶち切れ怒り怒号されまくりでした。
でも！すんごい私は知らない事を、沢山知ることが出来ました。
そして、この店長の素晴らしい所は、ブチ切れで怒号しまくっても、後に引きずらないのです。
怒る時は、全力で一切手を抜かず、ブチ切れで怒る。
喜ぶ時は、これまた全力で、誰よりも喜び、おおはしゃぎする。
そして、バイト・社員みんなを本当に良く見ている。見つめている。
誰かスタッフで悩みや、何か起きると、そっと店長室に呼んで、どうした？と訊ねる。
本当にすごい人でした。
自分が社会に出て、部下を持ち、多くのバイトと働き、更に偉大さを感じました。
兎に角、この店長は私そのものをしっかり見て、認めてくれている。実感でした。
きちんとやれば、黙っていても、わかっていてくれている。
ダメならば、きちんと叱って、教えてくれる。
気持ちを切り替え、怒鳴った１時間後でも、いつも通りの態度で居てくれる。
引きずらない。嫌ったり、憎んだり、しない。
スタッフの恋愛やら、何でもプライベートは自由を認め、尊重する。
けれど仕事に持ち込んだら、容赦なく叱る。切り替えろと。メリハリ付けろと。
仕事明けに、みんなで飲みに行くと、一番にはしゃぎ酔っ払う楽しい店長だった。
何もかも。一生懸命だったのです。
だから、多くのスタッフが仕事上の要求が厳しくても、ついて行けた。
フロアに店長が出てくると、空気がピリリと締まる感じでした。いい緊張感です。
私は、フラリと入った店で、こんなにも素晴らしい店長に出会いました。
そして、それまで何をしても楽しくない、目標なんて無い人生が、変わったのです。
キッチリ社会に出て働こう。そう思うようになったのです。
２０歳から就職し、この店長の下から巣立ちました。
社員にならないかと、店長は誘ってくれました。
私はその言葉だけでどれ程、勇気と自信を持てたか。
この店長に認められたら、他の会社でも、きっとやって行ける！と感じたのです。
その気持ちと、感謝を伝え、服を沢山売ったから、もっと高いモノ売ってみます。
と、巣立ったのです。
私自身が、それから３つの仕事をしました。
多くの部下や、アルバイトは述べ数百人と働きました。
いつも、いつでも、心で向き合い、全力で進みました。あの店長みたくね！
私にとって、多くの中の、ひとりのバイト、ひとりの部下であっても、彼ら、彼女らには、オンリーワン。
忘れそうになったり、出来なかったり、それでも、いつもその事を頭に、向き合いました。
今、私が本気で怒鳴り、烈火のごとく怒る理由。
感情でなく、この子が将来、いつかその理由をわかってくれると信じて。
私と働く事が無くなり、どこかで就職やバイトをしても、どこにでも通じる子になってほしい。
いい事と悪い事は、はっきりとしていました。要求も厳しいものでした。
バイトだから・・という特別扱いはしませんでした。
社員もです。同じ仕事をするスタッフとして、甘く見たり、厳しく見たりしない。
そのままに同等に見ていました。
だから私は役職名で呼ばせなかったです。
私自身が役職名で、欲や間違った認識をしないためです。
仕事はスタッフ全員で、一つ事をやるのです。
一人きりでは、達成できません。
自立したスタッフが集まると、不可能な事も、可能となるのが仕事の醍醐味です。
バイトにも、社員と同じに、全てオープンにしていました。信頼です。
信頼して責任ある仕事を任せるのだから、秘密は不要です。
その代わりに、混乱や不正や、間違いが起き難い、システムは私が責任持って作るのです。
それが私の立場、責任です。
そうして、考えられる、予想出来る限りの準備をして、スタッフを信頼して任せる。
やる事をやっているから、きちんと迷わず、自分なりに考えて、精一杯やってくれる！！
この確信と信頼。
これを感じると、どんなスタッフでも、目が変わってくるのです。
それまでは、目が死んでいて、やる気も無い様子ですが、目がキラキラとしっかりしてきます。
私はスタッフの年齢や性別、国籍にもとらわれませんでした。
そしてファッションもです。あ〜あとプライベートも。
仕事として要求する事を出来るのなら、個性は尊重でした。
外見重視の職場が多い中では、目立ちましたが、見た目より、ナカミ。
バイトの中には、表面的にいい子する子も居ました。そんなの騙されない！
ナカミをいい子にしなさい。ウラオモテ無く一生懸命やりなさい！が私の要求。
何故そう言うか、わからないのです。今までの大人は、外見や表面で騙して来れたから。
じっくり話しをしました。人は気付くものだって。ウラで汚い事をすれば、仲間や友人は見ていると。
遅刻も、どうしていいか、悪いか。
自分の給料が減るだけだと言います。
一緒に働くスタッフが、フォローして二人分働く事になる。
そして気持ちとして、誰か遅れたら、他のスタッフはプレッシャーが仕事に出る。
自分が困るのでなく、仲間が困るのだと。
来れないなら、他の仲間に頼み、ピンチヒッターたてるのだと。
それが一緒に働く、仲間へのマナーなのだから。
私は代わりのスタッフを立てた報告をしてくれたら、それでいい。
表面的に仲間。と言わないために、心から仲間だと認め合う為に。
だったら自分はどうすればいいか。考える。考え方を教えられたら。
お金の管理。物の管理。
全てオープンにして、責任を持たせました。
原価。仕入れ。
何もかも、どこかで、誰かがお金を払っています。
遠くの知らないところだったら、お金や商品に対して、鈍感になります。
鈍感さは、商品を盗んだり、適当に扱ったりする原因です。
きちんとオオモトから、しっかりと学んで貰います。
そして自己責任で、管理もさせます。
私は、その理由。根拠をきちんとひとりずつに話します。
仕事振りから、わかっていないと感じたら、説明するのです。
一人ずつ、個人差はあります。
すぐに飲み込み良く、テキパキ出来る子。
要領はいいけれど、怠惰で手を抜きたがる子。
何度も同じ事でつまずき、失敗する子。
失敗する度に、憶えて行く子。
ｅｔｃ・・・・・
それぞれが、それぞれの速度とやり方で憶えて行くのです。
仕事の求める結果は、ひとつなのです。
ですが、そこまでの道は、スタッフの数だけあるのです。
それが、楽しくて、嬉しくて、私の発想を超えるものばかりで、たくましく感じました。
それこそが、私の一番要求する、仕事のやり方だからです。
初めは、大まかな道筋は言います。教えます。
けれど、本人が進めると思えば、ゴールだけ忘れない様に言い、任せます。
けれど、見放すのでなく、こっそりと、しっかりと、見つめています。
危険が迫れば、すぐに走り出せる、その気持ちで、見ています。いつも。
ビジネスを越えた要求をスタッフがされたなら、私は上司として全力で立ち向かいます。
危害を加える者が居たなら、何があってもスタッフを守ります。
だから、警察に何回か行きました。
スタッフを守る為なら、警察行きも何でも、怖くない！です！
スタッフをよく見つめていると、心にやましい事がある子はすぐにわかります。
だから、不正をしても、異常に早く発覚します。
本人の良心も痛いのです。それが、出るのです。
私が信頼しているのを、裏切っていると言う、心が苦しむのです。
逆のスタッフも居ました。
良心なんて、とっくの昔に葬り去った子です。
そう言うスタッフは、私に近づき、媚びます。
表面的に良い子を私に売り込みます。
これも、すぐにわかってしまいます。
私は信頼している、他のスタッフの気持ちを、裏切る子達は激怒します。
激怒です。
震えて、飛び上がる。そこまで怒ります。
それ位、罪な事だからです。
それは、その子の将来にも関係あります。
ここを辞めても、その根っこの理由がわかっていないと、繰り返します。
それはその子にとって、本当に悲しいことです。
どうして、そうなってしまうのか、そこまで掘り下げて考えます。一緒に。
そして、二度と他の職場で、同じ事が起きないように、出来る限りを話し合います。
媚びたり、後ろめたい気持ちの無い、普通の心境の子とは、問題の深さが違います。
私はいくつであろうと、ひとりの人間として、真正面からスタッフと向き合います。
下は１４歳〜上は６８歳までと共に働きました。みな同じに真正面です。
嘘つきと盗人は、スタッフにも言ってましたが、一番私が怒る事なのです。
嘘つきに、陰口も入ります。嘘つきは＝陰口好きですから。
何度も個別に話をして、嘘つき・陰口を言うスタッフには、止める様に注意します。
それでも、どうしても止めない。言い続けると、２ヶ月後には、クビ！を宣告します。
感情論でなく、その人がこれからの人生を、少しでも悪癖から離れられたらと
一生懸命に話を聞いて、話してみるのですが、積み重ねた時間との戦いです・・・
盗みは、悪気無く、ちょっと失敬。と言うケースは、きちんと説明して何でもお金だと
じっくり話します。そして、盗ったらわかるのだと、はっきりと言います。
ほしければ、社員販売で売ると、きちんとルールも教えます。
問題は盗癖とも言われる、ばれても止められない、盗みをする人です。
これは若い子の場合は、これまで何件か見てきたケースでは、
親がお金にうるさすぎる家庭の子供が、小金を盗みやすいようです。
見るからに、お金を取りそうに無い子が、盗っていました。
いつも財布にお金が１０円とかうそみたいに、ちょっとしか無かったです。
いつも、いつも、缶コーヒー一本買うお金も持たないで、バイトに来る様な子は、
給料を親が厳しく管理していて、貯蓄させていたのです。
それでは楽しく、マックすら出来ません。
だから、小さな時からの知恵で、人のお金をほんの少しずつ、貰う。
何だか悲しいですよね。
若い時は、その年だからこそ！のクダラナイけど大切な価値感があるのです。
大人から見ると、ただの無駄遣いかもしれないけど、今買いたい。
今だから、ほしい。今だから、魅力的ってモノがあるのです。
それを取り上げて、貯金させて。
考えて使う事を教えてたらいいのに。
その子の親には、私はきついけど、言いました。
追い詰めたのは、あなたですと。
バイトや社員。
彼ら。彼女らと、人生の時間を一緒に過ごす以上は、半端では向き合えません。
いつか、どこか、ふと、あの時私が激怒した理由や、あの時信頼した気持ちを
実感を持って、人生でたった一回、ほんの一瞬でも、思い出して貰えたら、それでいいのです。
『私と働いたスタッフは、どこに行っても、何をしても大丈夫！
自信を持ちなさい。私の厳しさにしっかりとこたえられたのだから！
やりがいを感じる仕事を一度は探してみて。』
これが私のいつもの決まり文句でした。
本当にそうなのです。顔が変わり、目が生き生きとして、旅立つのです！
そしていつもこっそりと、心で聞いていました。
『店長。私店長みたく、メリハリあって切り替えして、全力投球出来ていたかな？』って。
霊界でぜひ会いたい人の一人です。いずれその時に会いましょう。
それまでは、お互いこっちでがんばりましょうってね。
真理など知らない店長でした。
けれど『無私でひとのために』が何か、本当に知っている人だったのです。